生理的変化

認知症性高齢者の心理を知るためには、心理的基盤を作っている生理的変化について知る必要があります。まず感覚器と心理状態について考えてみましょう。
視覚》老年になると視力の減退、調節力の低下による障害を訴えるようになります。眼がかすんだり、ものがみえにくくなることはそれだけ刺激が少なくなり、お年寄りの心理状態を変化のない乏しいものにします。
聴覚》老年になると聴覚が低下することはよく知られています。聴覚の変化は、しばしば周囲の人の会話の内容を誤解したり、思いちがいを生じさせます。聴覚の低下により客観的思考や批判力、洞察力を失うようになると、感情的反応がそのままそのお年寄りの心理状態
に反映することとなります。
味覚亜お年寄りは、味覚の変化について訴えることが多くなります。何を食べても砂を噛むようだ、味がしないなどと、味覚の変化を料理の内容のせいにしたり、あるいは、料理を作る人のせいにします。

以上のような知覚の変化は、お年寄りの場合には身体的あるいは、神経学的な異常にもとづく変化もあるし、心理的あるいは精神的変化に伴うこともあるので、場合によっては治療が可能となります。したがって、十分に専門的な検討がなされるべきです。感覚が正常であ
れば、それだけ心理状態を好ましい状況に保てるわけです。
お年寄りの性格の変化については、プラス方向とマイナス方向の両方の変化が考えられます。その変化について少し詳しくふれてみます。

もともとの性格に角がとれる、円満でおだやかになる、心配ごとや困難に対して忍耐力を持てる、不安を簡単に表面に出さなくなる、不平・不満をもらさなくなるなど、プラス方向への性格変化を示すお年寄りが案外いるにもかかわらず、このような側面が忘れられ、マイ
ナス方向への性格変化が強調されすぎて、お年寄りが誤解されている印象があります。
次にお年寄りのマイナス方向への性格変化をみますと、いらだつ、過去にこだわる、ものごとにあまり関心を払わない、新しいやり方を覚えようとしない、臆病になる、自分の気分や感覚に左右されやすくなるなどの傾向がみられます。さらに認知症性が加わると、頑固、わ
がまま、精疑的になります。

さて認知症性高齢者では、このような性格的基盤にもとづいてどのような心理的特徴を示すのか、ある報告をもとに考えてみましょう。

拒否的あるいは支配的態度函自分がなお年輩者として、あるいは家長としてのふるまいを示すために、自分の能力をごまかす手段として、一方的に拒否したり、権威的・支配的態度をとります。

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